善を積みて徳を子孫に遺す父母もしくは祖先は甚だ少ない

平成27年度第2回中日本生涯学習センター概論講座(ゴールデンウィーク講座)資料より転載させて頂きます。

「家や屋敷や地所や書物などを遺す父母もしくは祖先は世に沢山あれど、善を積みて徳を子孫に遺す父母もしくは祖先は甚だ少ないのであります」廣池千九郎博士の語録(3頁)

このお言葉をお聞きし、以前の自分の心の内にあった考えが、まさに前者の考えだったことに気付かされました。私は幸いにして約7年前に大病を患わせて頂き、後者の考えが少しずつ芽生え始めております。ここでいう「徳」とは、道徳的な行いと心づかいを日々の生活で積むことによってつくられる道徳的能力、つまり品性のことです。

品性は、人間の他の力、すなわち学力、知力、金力、権力などの中心にあって、それらを生かす根源的な力のことです。以前、私の父が大きなケガをした時、口頭でしたが二人の息子(私は弟)に「ここの土地はおまえに、ここの家はおまえに・・・」などと言ったことがあります。その時は「こうして子孫に財産を受け継いでいく必要があるんだな」と思いました。

ちょうどこの時期に、ある本を読んでとても驚かされました。本のタイトルや人物名は忘れましたが、ある会社を一代で築かれた外国の女性社長が、全ての財産を福祉施設に寄付され、我が子には一切財産を遺さなかったのです。その記事を読んだ頃は、その女性社長のお心がとても信じられませんでした。しかし、今は、女性社長がおそらく我が子達に「徳」を遺されたのだろうと思います。

確かに会社を存続させることはとても大切なことだと思います。会社の存続には、受け継ぐ者の心に「前社長の意志を受け継ぎ、その会社で仕事をさせていただくことで世の為、人の為に貢献させていただこう」という揺るぎない強い精神と社会の為という慈悲の心を持つことが必要になると思います。しかし、皆様がご存知の通り、時代は急速に変わっていきます。

ですから、時代によっては需要が減り、経営が成り立たなくなる会社も出てきているのが現状です。この女性社長が行ったように、また、廣池千九郎博士が今回のお言葉でおっしゃっておられますように、目に見える形である財産(家や屋敷や地所や書物など)ではなく、目に見えない「徳」という財産を遺すことが根本的にとても重要なのだと思いました。

時代が変わり、たとえ会社の存続がうまくいかなかったとしても、とても大切な「徳」を受け継いでいれば、違う分野で貢献することが出来、結果的に子孫繁栄に繋がるのだと思いました。

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