エラー・アザリア事件「法の下の平等に対する希望のなさ」

負傷したパレスチナ人を殺害したという罪で有罪を宣告されたイスラエル兵士が、今月中に寛大な判決を受けることを期待されている。

ジョナサン・クック記
ナザレ‐それはイスラエルのほとんど誰もが欲しない審理であった。
去る3月、陸軍医療補助員のエラー・アザリアが、ヘブロン市で負傷して横たわる21才のパレスチナ人、アベドアル・ファタアル・シャリフの頭に銃弾を発砲しているのが撮影された。アザリアが逮捕された後、兵士に対する同情がイスラエルの大衆、政治家、同僚の兵士から押し寄せた。

普通のイスラエルの人々は、彼を不運な犠牲者だと見ている。彼は彼の行いを撮影されたという理由によってのみ裁判にかけられたのである。多くのイスラエル人は法廷にいるのは自分の息子の可能性もあったかもしれないと感じた。

陸軍司令部は、審理が軍の遺憾極まる秘密を注視する世界に向けて発表してしまうリスクを恐れた。この事件がアザリアに共感したより低い階級間の反抗を導くかもしれないと心配する向きもあった。
ベンジャミン・ネタニヤフ政権はその間、法による統治の支持か、兵士の擁護かのやっかいな選択に追い込まれることを憂慮していた。

それにもかかわらず、軍事裁判所はビデオ映像が一気に広まった後では、アザリアを起訴する以外にほとんど選択肢がなかった。

アイーダ・トーマ・スレイマン、イスラエル議会のパレスチナ人メンバーは、イスラエルでは審理の状況が、いつか兵士がハーグの国際刑事裁判所(ICC)のような組織からの綿密な調査に直面するのではないかという不安が増大しているとアルジャジーラに語った。

「このような明快な事例では、イスラエルは戦争犯罪を真剣に受け止めているかのように見えることが重要です。さもないと、ICCは調査を決定するかもしれません。」彼女は言った。「しかしこの事例は右翼の政治家と多くのイスラエルの大衆の気分を害したために問題を引き起こしました。彼らは兵士たちが全くの咎めなしになることを期待しているのです。」

そのムードに従い、陸軍はすぐにアザリアに対する最初の殺人の告発を取り下げた。代わりに、検察官は過失致死の起訴で手を打ち、その決定をシャリフの家族は今週、「正義の曲解」だとして非難した。
水曜日、アザリアは軽減された告発を有罪であると軍事裁判所により裁決された。
アザリアの弁護士は控訴するつもりであると発表した。

しかし法廷はアザリアに最高で禁錮20年に処す権限を与えられているが、今月末には寛大な判決を与える根拠を見出すことは確かである。
アザリアの判決を迎えた法廷の外の暴動と、続く裁判官と検察官によるボディガードを伴って発した決定は、それらに対する圧力として貢献するであろう。

判決の前ですら、政治家は、ネタニヤフも含め、ルーベン・リブリン大統領に兵士を許すよう圧力をかけるキャンペーンを開始していた。

トウマ・スレイマンは、カフム・カシム大虐殺(1956年10月29日に、カフム・カシム村でイスラエル軍が、外出禁止令に違反したとしてパレスチナ人47名を虐殺した事件。「単なる技術上の過失」とされ処罰されなかった)やバス300事件(1984年4月12日に、テル・アビブでハイジャックを起こしたパレスチナ人の犯人が拘束後、殺害された事件。それに関わったイスラエルの上級将官や国内保安サービスの長は罪に問われなかった)のような保全当局者が関係している、恩赦が与えられた歴史的な先例は、キャンペーンが成功する充分な見込みがあることを示したと言う。

「人権やこの事件における法による統治のために立ち上がろうとした誰もを沈黙させようと意図する恐怖の統治が存在してきました。」彼女は言う。

もし審理の目的が、世界にイスラエルは兵士が犯罪を犯した場合には適切に責任を取らせることを固守することを示すためであったなら、おそらく失敗であろう。

最初にヘブロン市での射撃の動画を公表した人権団体は、文書でアルジャジーラに、アザリアの判決は「例外的であった」と伝えた。兵士がパレスチナ人に対し実行したと疑いをかけられた多くのケースでは、陸軍による「いつものごまかし」が存在したと団体は言った。

アザリアは、実際、2004年、遊牧民狙撃手がガザで英国人活動家のトム・ハーンダルを殺害したという罪で有罪を宣告されて以来の、過失致死で告訴された初めてのイスラエル兵士なのである。

アザリアの行動は孤立して行われたわけではない。上級政治家たちと安全管理当局者は効果的に彼を扇動した。

サリ・バシー、イスラエルとパレスチナにおけるヒューマン・ライツ・ウォッチの権利擁護部長
イエス・ディン、もう一つのイスラエル人権団体は今週、去年ヨルダン川西岸で、占領されているパレスチナ人76人がイスラエル兵士により殺害されたことについての調査が行われなかったとの報告を公表した。データは兵士による不法な行為を扱う「能力のなさとやる気のなさ」を示したと団体は言った。

アダラー、イスラエルのパレスチナ人マイノリティの法律センターは、2014年のガザにおけるイスラエルの襲撃の間、イスラエルによるものと識別された、パレスチナ人を殺害した様々な攻撃は「一つも起訴されなかった」と指摘した。

逆説的に、陸軍がアザリアの審理から学んだレッスンは、より大きい秘密のための必需品である。

去る4月、ヘブロン市での射撃の何週間も後に、イスラエル人の警備員がエルサレム近くのカランディアの検問所でパレスチナ人の兄妹を撃ち殺した。イスラエル当局は検問所の監視カメラの撮影動画を発表するのを繰り返し拒否した。

ハアレツ新聞は10月に下された調査を中止するという決定を、マラムとタハ・アブ・イスマルは彼らが撃たれた時なにも警告されなかったという明白な証拠にも関わらず、「殺害の公式のライセンス」であると説明した。

アザリアの弁護団による説得力のない答弁のさなか、一つの議論が打撃を与えた。アザリアのものと類似した多くの審理は、2015年に逃げるパレスチナ人ティーンエージャーを撃ち殺したのを撮影された陸軍連隊長イスラエル・ショーマーに対する調査も含め、非公開であった。アザリアは弁護団に、自分は抜き出されたと述べた。

アザリアの判決はまたイスラエル兵士に、イスラエルの交戦規則に従い我慢する必要を強調するのには役に立たないことを証明しそうである。

イスラエル民主主義研究所(IDI)の9月の世論調査によると、イスラエルのユダヤ人の65%がアザリアのシャリフに対する処刑を支持していることがわかった。イスラエル人の18才から24才の間では、多くのイスラエル人が徴収兵として勤めている年齢だが、彼の行動への支持は84%に急騰した。

イスラエルのメディアは、「われわれすべての子供」として、主としてアザリアを支持した。2つのイスラエルの出版物は、彼を「マン・オブ・ザ・イヤー」に選出しさえした。

「イスラエルの大衆の態度ははっきりしていました。」イエディディア・スターン、IDIの調査員はアルジャジーラに語った。「彼らは、『私たちが彼に制服を着せ、銃を与え、占領地の危険な場所に置いたのだ』と考えたのです。彼はヒーローではないかもしれませんが、でも彼は犯罪者でもありません。彼は私たちの少年なのです。」

混乱のヘブロン市で、瞬間的に自身の挙動を失ってしまった未熟なティーンエージャーという人気のあるイメージは、彼の周知の考え方に直面して維持するのが難しくなっている。彼のソーシャルメディアへの投稿は、青年が、陸軍に入隊する以前ですら醜く、過激な反アラブの意見を発散させていたことを暴露している。

2014年のガザでの戦争の間、アザリアはガザにいる全てのパレスチナ人が大虐殺されるべきであると要請していた。彼はまた故メイル・カハネ、1994年に彼の反アラブ・カハ党が不法とされたラビと、彼のフォロワーであるヘブロン市のイブラヒミモスクで29人のパレスチナ人を撃ったバールーフ・ゴールドシュテインに対する支持を宣言していた。

審理の間、アザリアは彼と一緒に勤めていた他の多くの兵士のように、ヘブロン市の移住者間の前Kach(ユダヤ人の防御のために設立されたテロ組織)のリーダーと友人になっていたことが明らかになった。安息日ごとに、彼と他の兵士は、上級指揮官も含めて、以前カハネの門弟であったバールーフ・マーゼルの家に昼食を摂りに訪れていた。

動画はアザリアがシャリフを撃った後、マーゼルのもとに微笑みながら歩み寄り、握手をしているのを示している。

他の撮影動画は別の移住者、救急車のドライバーであるオフェル・オアナが、それ以前に検問所でナイフで襲撃され重傷であったパレスチナ人、シャリフが生命の兆候を示した際、シャリフを処刑するよう兵士たちを駆り立てているのを示している。

オアナはシャリフがアザリアによって処刑された後、おそらく殺害の正当化を作り出すのを助けるために、ナイフを蹴ってシャリフの近くに寄せているように見える。

軍事裁判所によって今月発表されたレポートは、兵士や移住者たちがサイトにおけるパレスチナ人が撃たれた証拠を不法に変更するのは日常茶飯事であることを見出した、とした。調査する努力はしばしば結果として徒労になった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ヘブロン市の射撃以前の数か月、上級政府大臣と安全管理当局者が繰り返し、彼らが脅しを全くしないとのポーズを作っていた時でさえも、パレスチナ人の攻撃者に対して「撃ち殺し」方針を要請していたと指摘した。

それとは別に、スペイン・ポルトガル系ユダヤ人の最高のラビ、イザク・ヨセフと陸軍の最高ラビ、エーヤル・カリムは攻撃の容疑をかけられたパレスチナ人の処刑を要請してきた。

しかしもっと重要なことに、軍の上級の人物は審理の間、裁判所の管轄外の処刑に対する支持を声に出すことに見切りをつけたのである。現場の士官はアザリアのような犯罪にいつも見て見ぬふりをするかもしれないことを示しつつも。

ウージ・ダヤン、前参謀長代理はアザリアの抗弁で証言した。彼は配下の兵士が正当な理由なくしてパレスチナ人を殺害した際に、個人的にかばってきたと言明した。

彼が引き合いに出した1つの事件では、彼の兵隊が帰宅途中の5人のパレスチナ人を撃ち殺していた。彼は調査を阻止した。そのような問題は公に放送されることはないと彼は言い加えた。

裁判所の管轄外の処刑に関してより一般的に話すならば、彼は言った。「私はテロリストを、彼らの状態や彼らが危険か否かに関わらず、ただ彼らがテロリストだからという理由で殺害せよと命令してきました。」

もう一人の将官、サムエル・ザカイ、ガザのイスラエル軍を指揮した彼は、法廷でアザリアの行動は「合理的である」と感じたと語った。彼は「私はこの行為に何も異常なものを見ませんでした。」と言った。

サリ・バシ、HRWのイスラエルとパレスチナにおけるアドボカシーディレクターはアルジャジーラに語った。「アザリアの行為は何もないところに起こったわけではありません。上級政治家や安全管理当局者が効果的に彼を扇動したのです。」

トウマ・スレイマンはアザリアの審理とアハメド・マナスラ、11月に大人用刑務所に12年間入れらることになった13才のパレスチナ人の少年の審理の、著しい対照を指し示した。

裁判官は、マナスラは2015年のエルサレムにおける襲撃で誰も刺してはいないと承認したにもかかわらず、イスラエルの軍事裁判所はその子供を殺人未遂の罪で有罪であるとした。彼の年上のいとこは、現場で撃ち殺されたが、2人のイスラエル人を刺した責任があった。

「マナスラは子供ですが、軍の裁判制度は彼をアザリアのような兵士よりもはるかにいっそう厳しく扱いました。」彼女は言った。「占領した軍の一員が裁判官と陪審員では、法の下の平等、あるいは法の正義は全く希望が持てません。」

取材:アルジャジーラ
http://bit.ly/2i6q1ee

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